地域と福祉の分断 #01「その人たち」と「ぼくたち」─見えない壁をこえて

■ 福祉の仕事を続けてきて思うこと
これまで23年間、お年寄りや障がいのある人、子どもたちを支える福祉の仕事をしてきた。
福祉サービス以外でも地域のみんなとお祭りやイベントを一緒にやったりすることで、「誰もが自分らしく生きられる社会をつくりたい」と思って活動してきた。
その中で見えてきたのは、社会の中にある“目に見えない壁”だ。
それは「その人たち」と「ぼくたち」を分ける、心の中の壁をみんなが持っているということ。
■ 「怖い」「知らない」が生む不安
例えば、グループホーム(障がいのある人の住まい)を作ろうとしたとき、地域の人たちから「怖い」「なんだか心配」と反対されることがあった。
でもそれは、決して悪気があるわけではないと思う。
くわしく知らないことに対して、不安になるのは、誰でもあることだから。
当時はそう思わなかったが、活動を続けてきたことでそう感じるようになった。
■ 「おんらが村」で見えてきた変化

ぼくたちが作った「おんらが村」(就労継続支援B型)では、障がいのある人たちが、農作業を行い、できた野菜をショッピングセンターで販売まで行う。
最初は声をかけてくれなかったうちのばあちゃんが、農作業を手伝ってくれるうちに「どこが悪いんだ?」って話してくれるようになった。
ばあちゃんは、「あそこの病院(精神科の病院)に通っている人は“きちがい”だと思ってたけど、こんなんだと思わなかった」と言ってくれた。思ってたより普通に見えたってことだと思う。
毎日一緒に過ごす中で、その積み重ねによって自然に気持ちが変わっていった。
これは、紙での説明や話し合いでは生まれない、大切な「変化」だった。
■ 一緒に体験することが大切
だからぼくたちは、市内の人たちに説明会を開いたり、一緒にお祭りをしたり、ご飯を作ったりする場を作ってきた。
ただ話すだけじゃなく、「同じ時間を過ごすこと」で、少しずつ分かり合えるようになってくるからね。
■ 利用者さんの言葉が力になる
そして、障がいのある利用者さんも変わってきた。
「最初は、人に見られるのが怖かった。でも今は“おつかれさま”って声をかけられるのが嬉しい」と言ってくれた人がいた。
そういう笑顔が、ぼくたちにとって、1番のやりがいになっている。
■ ぼくにもあった迷いと不安
もちろん、ぼく自身も悩んだことがたくさんある。
「地域の人たちと関わらせることが、かえって利用者さんの負担になっていないか?」
「本当にこれでいいのか?」
と迷うこともあった。
でも、利用者さんの表情や、地域の人たちのやさしい変化を見ていると、「間違ってなかった」と思えるようになってきた。
■ 大事なのは“一緒にいる時間”
こうした変化は、制度(ルール)や知識だけでは生まれない。
「一緒にいる時間」が、自然にお互いを知り、分かり合うきっかけにとなる。
■ 福祉を“特別なもの”にしないために
福祉の場所が「特別な場所」になってしまうと、人とのつながりがなくなってしまう。
大切なのは、福祉が日常の中にあって、みんなと自然に関われるということ。
■ 壁をこわす“現場の力”
「その人たち」と「ぼくたち」と分けてしまうだけで、心に壁ができる。
その壁を壊すためには、制度や紙の上の話だけでは足りない。
ぼくたち福祉の現場で働く人たちが、誰よりも前に出て、「一緒にいること」「関わること」を大事にしていくことが大切だと思っている。
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