第4部 不登校の子どもを支える保護者の方々へ

― その悩みも、迷いも、あなたが「親」である証です ―
「朝、起きてくれない」
「理由を聞いても何も言ってくれない」
「このままで将来は大丈夫なんだろうか」
「私の育て方が悪かったのだろうか」――
お子さんが不登校になったとき、多くの保護者の方がこのような思いを抱きます。
不安、心配、いら立ち、そして自己否定。
それはどれも、わが子を大切に思う気持ちの裏返しなのです。
まず、どうかご自身を責めないでください。
そして、どうか「今できていること」にも、目を向けてみてください。
子どもが「行かない」と決めた背景には、理由があります
不登校には、さまざまな背景があります。
学校での人間関係や学習の不安、感覚過敏や発達特性による疲れやすさ、家庭でのストレス…。
そのどれもが、本人にとっては「もう限界」と感じるほどのものだったかもしれません。
けれど多くの子どもたちは、その理由をうまく言葉にできません。
「わからないけど、つらい」
「理由を話しても、理解してもらえない気がする」
そんな思いのまま、ただ黙って時間をやりすごしている子も少なくないのです。
大切なのは、「原因」を突き止めようとすることではなく、「今の状態」を受け止めることです。
「学校に行かない今」も、わが子の人生の一部であり、決して“失われた時間”ではありません。
親子関係に正解はありません。「試行錯誤していること」こそが支援です
子どもが不登校になると、親子関係がぎくしゃくしたり、会話が減ったりすることがあります。
でも、心配しすぎて距離を詰めすぎると、かえって子どもが心を閉ざすことも。
保護者の方には、よくこんなアドバイスをお伝えします。
- 無理に話そうとせず、そばに「いる」ことを意識する
- 学校に行かなくても「大丈夫」と言ってあげる
- 日常の中で、ふとした笑顔や共通の話題を大事にする
たとえば、同じ番組を一緒に観て笑ったり、何気なくお茶を飲む時間を共有するだけでも、「親子の信頼関係」は確かに育まれています。
ひとりで抱え込まないでください。支援は、あなたにも向けられています
「子どもが困っているのだから、自分がしっかりしなくては」と思う方も多いでしょう。
けれど、保護者自身が疲れ果ててしまっては、継続的な支援は難しくなります。
最近では、保護者を対象にした親の会や、相談支援・ペアレントトレーニングなども各地で広がっています。
茨城県内でも、つくば市や笠間市などでは、保護者向けの情報提供・学習会・カウンセリングが行われています。
支援は、子どもだけに向けられたものではありません。
保護者もまた、支援の対象です。
不安を話せる場所に行くこと、自分の気持ちを誰かに聞いてもらうこと。
それは「弱さ」ではなく、「親としての強さ」だと私たちは考えています。
あなたのまなざしが、子どもを育てています
不登校の期間は、ときに先が見えず、不安が募る日々かもしれません。
でも、お子さんにとって、「自分のことを信じてくれる親がいる」という安心感は、何よりの力になります。
子どもが「行けない」日を過ごす中で、親もまた「どう支えたらいいか」を探し続けています。
その姿勢こそが、すでに大きな支援であり、愛情です。
どうか焦らず、比べず、少しずつ。
「親として完璧であろうとしないでください」
「親として迷っているあなたにこそ、子どもは救われています」
私たちも、地域の一員として、保護者の方々のそばに寄り添いながら、子どもたちの未来をともに支えていきたいと願っています。

次回は最終章、第5部「不登校を支える支援者へのメッセージ」。
子どもと家庭に関わる支援者の皆さんへ、役割の重さと限界の間で揺れながら日々奮闘されていることに、心からの敬意とエールをお伝えします。








